長野から群馬までサイクリング 新幹線輪行と国道18号を走る1泊2日
前回は名古屋から東京まで東海道を走り、実家の埼玉県に自転車を置いて、新幹線で名古屋に帰っていきました。
もちろん愛車を長期間放っておけるはずもなく、
わずか4日後、定時に退勤して新幹線に乗り、私は帰ってきました。
ただ輪行して名古屋に戻るのもつまらないので、友人を誘って1泊2日の自転車旅行をすることになりました。
第1日
2020.05.22
というわけで帰ってきました。この一週間。新緑の香り漂う好天に恵まれ、最高気温も25度前後で推移している中、自転車にまたがることすらできない悲しさを乗り越え、私は帰ってきた。
名古屋城からほど近い職場を定時になった瞬間退勤し地下鉄、新幹線、また地下鉄、最後に西武線と乗り継いで2時間30分。
実家の玄関には砂まみれの愛車が待っていた。
前回の雨天サイクリングで付いた泥が乾燥して自転車のみならず玄関まで砂だらけになっていたのだ。
拭き上げてついでにフロントタイヤと前後のブレーキシューを交換して明日のサイクリングに備える。
2020.05.23
5時50分、気温は10度をやっと越えたところ。半袖半ズボンという夏仕様の私からしたら極寒であるが、空は雲一つない快晴という絶好のサイクリング日和だ。
サドルバックには輪行袋とパンク修理セット、リュックサックには1泊分の着替えをもって新秋津駅を目指して進む。
所沢市民の行動凡例によると新秋津に行く市民は武蔵野線で浦和方面へ向かい、京浜東北線か埼京線(高崎線・宇都宮線でも可)で大宮へ向かう。
このとき武蔵浦和で乗り換えるか南浦和で乗り換えるかは個人の裁量に任せられる。
大宮へ到着した市民は在来線に乗って鴻巣へ行くか、新幹線に乗って北へ向かうかに大別される。大宮にとどまる市民は1%くらいである。
私は新秋津で1泊2日サイクリングを共にする友人S氏と6時に待ち合わせをして、所沢市民凡例に従って大宮へ向かった。そして北陸新幹線に乗って長野駅で降りた。
長野駅で自転車を組み立てていると、おなじく新幹線で輪行してきた旅行者が爽やかに挨拶をしてくれた。
我々の挨拶はこうも爽やかにはいかない。何が違うのだろう。
その後、S氏がフロントホイールのクイックレバーをなくしたと言い出した。
仕方なく長野駅から一番近いトドロキサイクルまでゆっくりこいでいき、クイックレバーを購入したときが10時。
やっとサイクリングが始まる。
川中島古戦場は国道18号から少し外れたところにあった。
長野市は標高が高いが、今日の目的地である軽井沢はもっと高い。長野市から強い向かい風のなかずっと上り続けなければならない。
昼食を上田の名店刀屋に定めて一生懸命走り続ける。
平均時速は驚異の時速12km。もうママチャリである。
川中島を出て屋代までは大体平坦な道だが、屋代を出ると上田までずっと上り続ける。「これはやばいぞ」このペースで走れば到着は深夜になってしまう。
休憩もせず必死でこぎ続けていると意外にも12時前に上田に到着してしまった。
刀屋はコロナウイルスによる自粛騒動の余波のせいか、並ばすに入ることができた。蕎麦もすぐに出てきた。美味い。意外にもざらざらした口当たりの蕎麦なのだが、のど越しはすこぶる良い。一瞬で食べた。
時間は12時45分。軽井沢まで残り40km。
「余裕だ。」
二人の見解が一致した。上田電鉄で別所温泉に行き、温泉に浸かり、おやきを食べて、上田に戻り焼きそばを食べ、アップルパイ研究所でアップルパイと想像を絶する美味しさのリンゴジュースを飲んだ。気づいたら17時半になっていた。
今日は軽井沢駅前の軽井沢らしからぬビジネスホテルに泊まる予定だ。一泊2500円のキャンペーン価格で泊まれるので、夕食は豪勢に軽井沢らしくビーフシチューでも食べようという算段である。
サンジェルマンは軽井沢駅前にある昭和レトロな洋食屋だ。カウンターとテーブルが数台という小さな店で、仲の良い気さくな婦人と寡黙な亭主が経営している。
21時15分閉店ということはラストオーダーはだいたい20時45分だろうか。
上田から軽井沢までは40kmだから時速12㎞ペースで3時間から3時間半はかかりそうだ。
しかし、あいかわらずの向かい風の中、浅間山南麓を登り続けることを考えると時速12㎞は厳しいだろうか。不安に駆られて我々はやみくもに走り出した。
国道18号線という一本道を進むだけの簡単なルートでなぜか2度ほど道に迷い、小諸なる古城のほとりを後ろ髪を引かれる思いで通過、やっと御代田町に入るも時刻は20時を過ぎている。
延々と坂を上ってきたが、まだ上がるらしい。御代田町に入ると西軽井沢店を名乗るファミリーレストランも現れ、軽井沢が近いことを教えてくれる。
そして20時50分軽井沢駅到着。
サンジェルマンは快く我々を向かい入れてくれた。2000円を超えるビーフシチューを何のためらいもなく注文する。
これが社会人だ。
素人作家気取りが味を文章化するのはおこがましいほどの美味しさであった。
閉店時間を過ぎてしまったが、サンジェルマン婦人と会話が盛り上がり、つい長居してしまった。